バレエ映画じゃなかった・・・「ブラック・スワン」


なぜか道場関係でも見てる人がいたり、そこそこ話題になってたのでなんとなく観てみた。あまり予備知識もなく。

・・・ホラーだった( ;∀;) 深爪とかささくれむしりとか爪ヤスリでグサグサ(!)とか、その手の痛々しい場面があまりにも多くて参る。メンヘル映画だって知ってたら行かなかったよぅ〜・・・!


※以下、内容に触れてるので気になる方はご注意を!



私の柔術は、一流バレエ団にいるらしいニナ(ナタリー・ポートマン)とはまったくレベル違うけど。
バレエ団の芸術監督・トマ(ヴァンサン・カッセル)の望むようなオディール(黒鳥)が踊れず、うっかり「ごめんなさい・・・」とつぶやいて「謝罪なんて臆病者の言い訳だ!」みたいなに怒鳴られてビビリまくり、またもや謝っちゃいそうになる場面だけはものすっごく共感した。もうほとんど、自分に言われてるみたいw


踊ってるのは自分のはずなのに、いつも「これでいいの?これで合ってるの?」と周囲の顔色を伺ってばかり。いい大人のくせに、妙なところ脆くて自信がなくて。
まあリアルで私を知ってる人は「そうは見えないけど〜?」って言うだろうけどw、そういうところが自分にもあるだけに、とにかく謝って受け入れてもらおうとするニナのコミュニケーションの取り方は、なんだか他人とは思えず。


ニナは多分小さい頃から踊ってるだろうに、なんで自分の居場所をバレエの中に見い出せなかったのかなあ?
去年からいきなりBJJ始めて、最初は道場そのものに馴染めなくて借りてきた猫状態でビクビクしてた自分からすると、どうみてもキャリア10年以上ありそうなバレリーナがあんなにオドオドしてるのが不思議だった。


マチュアじゃないんだよね?プロの踊り手さんなんだよね?いくらママがあれでも、よくこれまでお金もらうバレリーナやってこれたもんだ。

一芸に秀でた人は、それ以外の日常生活の面で非常識だったりするのはわかるけど。よりによって自分の飯の種であんなに狼狽しちゃうようじゃ、元々プリマになれる器の人ではなかったってことなんだろう。


他の人の感想も幾つか読んだけど。母親のエリカ(バーバラ・ハーシー)が本当に娘をスポイルしちゃうダメママなのかも、よくわからなくなってしまった。
唯一「このカーチャンおかしいんじゃね?」と思ったのが、主役の座を射止めたお祝いのケーキを捨てようとした場面くらい。それ以外は、ひょっとしたら精神状態が常に不安定なニナを心配して、その度合がちょっと行き過ぎてるだけなのでは?と思えなくもないし。

とにかくニナの精神的不協和音がどんどんひどくなるので、ニナの認知が歪んでいるのか、それとも本当の現実なのかの境界が曖昧になっていって、後半どんどん観るのがつらくなってしまった。痛い場面多いし。


エロスな場面が多い、という意見もあったけど。観てて気持ちいいエロスじゃなかったなー。
ひとりエッチしていい気分になって寝返り打つと、なぜか枕元にカーチャンが寝ててドキィッ!とか、ペロペロしてくれる相手の顔がリリィ(ミラ・クニス)じゃなくて自分に変わってギョッ!とかw 

そういえばセクシーな場面はあっても、バストトップは晒してないんだよね。ノーブラなのでレオタード越しにポチっと見えてる場面で「あら、いいのかしら?」と思っちゃったりくらいで。子役出身で、そっち方面はいろいろ厳しかったみたいですな>ナタリー・ポートマン


ところで。

黒鳥に変身しての踊りは、CGの見事さもあってもっとずっと観ていたいくらいだったけど。

あれ、狂気はあってもちっともセクシーでも官能的でも蠱惑的でもないよね?あれで誘惑された♪とソノ気になる男の人、絶対いないと思うw


元々ニナにあったのは狂気と紙一重の怯えからくる抑制であって、それが外からは清純に見えただけで。
それを舌に噛み付かれたくらいで「ひと皮剥けば官能が眠っているはず!」って思っちゃったトマがそもそもイカンのだよ!
踊りは「完璧」だったかもしれないけど、あれじゃあまりにもニナが可哀想すぎる・・・救いのないラストに思えちゃった。

それもこれもぜーんぶトマ、お前の勘違いのせいだーーーっ・・・!