ストックデールの逆襲


「ビジョナリー・カンパニー2・飛躍の法則」より、とりあえず覚書。
※その後6/20に追記。


「(過酷な収容所生活に)耐えられなかったのは、どういう人ですか」


「それは簡単に答えられる。楽観主義者だ」


(略)


「楽観主義者だ。そう、クリスマスには出られると考える人たちだ。クリスマスが近づき、終わる。そうすると、復活祭までには出られると考える。そして復活祭が近づき、終わる。つぎは感謝祭、そうしてつぎはまたクリスマス。失望が重なって死んでいく」


(略)


「最後には必ず勝つという確信、これを失ってはいけない。だがこの確信と、それがどんなものであれ、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視する規律とを混同してはいけない」


「ビジョナリー・カンパニー2・飛躍の法則」 P.136


「最後には必ず勝つ、というビジョン」自体を持つのが、そもそも凡人には難しいんだよね。だから手近な楽観主義にすがって、そして死んでゆく。

だけどさ。
そりゃ、死ぬより死なない方がいいに決まってる。でも、戦争という極限状態において楽観主義の果てとして死を迎えることと、ビジネスの上での競争に負けること。これは一緒の土俵で語ることなんだろうか?


この言葉を読んだときに、何かが自分の中で引っかかった。それは肯定的な部分と、いま書いたように否定的な部分、その両方の意味で、だ。

経営者の立場にある人が、こういう思想を持つのは構わない。
でも、少なくともこれは、人にお給料をもらう立場の人間にはあまり関係ない思想だと思う。
(ま、元々経営層対象の本なんだろうけど)


いま巷にはビジネス書の類が山ほど出ているし、ツイッターやっててもそういう系の話題がゴロゴロしてる。
でも、ビジネスの世界で勝者になることと、個人の幸せとはまったく別物だ。そこを混同させがちな情報が、とても多すぎると思う。


ストックデール将軍の偉大さに関して、異論はまったくない。
でも、この原理をビジネスに、しかも一介の雇われ人も応用させよう、という必要性は感じない。
そういう考え方より、凡人は凡人としての幸せな生き方を模索する方が、楽しい人生を送れそうな気がする。