コクリコ坂から


よ〜〜〜やっと!レンタル屋さんで借りられたー・・・!

というわけで、例によってネタバレ全開で感想いってみます♪



面白かったけど、なかなか自分にとっての「萌えポイント」が探し出せずちょっと残念、て感じでしたね。でも、好きなタイプの作品なのは間違いなく。

三丁目の夕日”的昭和ノスタルジーと、恋人たちの未来に影を落とす出生の秘密(「冬ソナ」だ〜w)が話題の中心みたいだけど、個人的には


   亡き父への思慕から、毎日コクリコ荘の小さな庭に旗を揚げる松崎海の「閉じた」思いが、
   風間俊という少年によって「開かれていく」物語

という点に好感が持てました。というか、「父の不在モノ」は自分にとって常にツボなのですよw


「萌えポイント」がなかなか見い出せない理由は、多分場面場面にあまり余韻がなく(わざとそういうテンポにしたらしい)、サクサク進んでしまうからだろう。
何回も再生したシーンは


1. カルチェラタンの大掃除で、北斗さんの100点満点の答案を見つけた海に思わず近寄るものの、二人の距離にはっと気づいてそっけなく離れていく

2. 自分たちは兄妹だからつき合えない、これからも友だちのままだ、と海に言い放ちつつ、赤い傘を持つ海の手をぎゅっと引き寄せ、自転車で去っていく俊

3. 父の旧友である小野寺の待つ船にタグボートから飛び移る海を、しっかりと腕に抱きとめる


という「風間俊モード」な場面wと、


4. 俊から「もうつき合えない」と告白された夜、不在の母や亡くなったはずの父が出てくる夢で、父の胸に飛び込み泣きじゃくる海

5. 亡き親友である立花の息子・俊、澤村の娘・海との再会を目に涙を浮かべて喜ぶ小野寺と、親の過去と自分たちが生きる現在がつながったことを理解する俊、海


という、海が「死者への思いから開放される」場面の、二種類があった。


前者(1〜3.)は当然、その先を知ってる不純な大人wとしてはニヤニヤしながら見たいところで、でもそれには若干尺が短い。わかってこういう性的な場面を入れてるくせに、萌えさせてくれそうでくれない、宮崎吾郎監督のイケズな感覚がタマリマセン(´∀`*)


後者(4〜5.)は、意固地なまでに亡き父を思い続けていた海が、その父を思い出にして新しく俊と生きていく、というこの作品のテーマそのものな場面であり。

個人的には、この初恋が成就するかより、父の呪縛から解き放たれることの方が海の人生にとって大きな出来事なのじゃないかと思っていて。

夢の中で叶わない夢を見て泣いたり、親たちにもいろんな事情があったんだと理解することで、ようやく海は「もうお父さんは帰ってこないこと」「自分はいままで一人の庭で旗を揚げていたけれど、外にはもっと広い世界があること」を知る。そう、海の人生はここから始まるのだ。


ラストに響くタグボートの汽笛によって、俊と海、それぞれ一方通行だった思いが初めて応答の形になる。説明的じゃないからわかりづらいかもしれないけど、とても映画的でいいラストだなあと思った。


【蛇足】

あとですね。非常に気になるのが俊の親友である、水沼*1の海への思いでして。

多分水沼も海に好意を持っていて、でも俊と海の気持ちもわかっているが故に身を引く立場なんじゃないかと勝手に妄想w


ひょっとしたらあの「旗を上げる少女」の詩すら、俊から聞いた「毎朝、旗をあげてるコがいるんだぜぇ〜」という話に心惹かれ、思わず水沼が作ってしまったものなのでは?と邪推しております。
(だって〜、劇中でも「あれ、風間さんが書いたんでしょう?」という海の問いかけに、俊は笑顔だけどYESとは答えてないんだよ〜・・・(´∀`))


「残すか捨てるか迷ったときは、燃やせ」


カルチェラタンの大掃除のとき、水沼が俊にこう語ったようだけど。これ、水沼自身が海への思いを封印するためのセリフだったんじゃないでしょうか?

*1:風間俊介クン(ややこしいなw)は俊の実の父・立花役もやってたみたいだけど、いい声だね〜♪ 岡田准一クンも、俊より澤村役の方が男前の声に聞こえた。31歳だもんなあ、17歳役はちょっと照れがあったのかも。