二泊三日東北の旅(其ノ参)
これまでの経過については下記参照↓
1.往路編
2.海釣り編
遅いお昼の時間に盛岡駅に着いたので、未体験の家族のためにイザ、わんこそば店へ!
ご存じない方のために解説すると、わんこそばとは一口分のお蕎麦が次から次にお椀に投入されるのをどんどん平らげていくもので。食べられてるうちはいいんだけど、お腹いっぱいになっても途中で止められないw
止めたいときは、お蕎麦を入れてくれる女性がそばにいるときに、その目前でお椀の蓋を閉めないとダメ。タイミングが合わなかったり、蓋を閉じたお椀の中にわずかでもお蕎麦が残っているのもダメ。それをクリアするまで永遠にお椀に蕎麦が投入され続ける、という強制的大食い選手権みたいなものなのであります。
(慌てないでゆっくり食べても、もちろんOK♪)
わんこそば15杯で大体普通の蕎麦一人前くらい。時間無制限でやった大会の最高記録は599杯(通常のざる蕎麦40枚分!)らしいけど、我が家は車中でお菓子食べたりビール飲んでたので、娘12杯、息子34杯、私39杯、夫がなんとか頑張って67杯、という結果に。
担当してくれたお姉さんがキュートでドSなメガネっ子で、なかなか蓋を閉じさせてくれない。「はい、どんどん♪」「はい、じゃんじゃん☆」と掛け声のタイミングもうまく、私も3回目くらいでやっと終了できたくらい。さすがに娘には加減してくれてたけどね。
特に、最後の一人に残ってしまった夫は蓋を閉じようとして何度も失敗し、何杯も余計に食べるハメに。本人は苦しそうだったけど、周りは大ウケでしたw
でも隣で食べてた中学生くらいの女の子は、軽々と100杯平らげてた・・・恐るべし、大食い女子!
その後、宿泊する伯母の家へ移動。
農家なので、もてなしてくれる料理に使う食材はほぼすべて自家製。近くの渓流で釣ってきたという鮎の塩焼きも美味しかったんだけど、前日からタンパク源として魚介類しか食べてなかった夫と息子は、ひっそりと「肉がない・・・」とつぶやいていた。ほほほ、田舎ですから〜w
食後、息子は再従兄弟(はとこ)相手に将棋三昧。いつもはあまり接点のない高校生のHクン、新米教師のSクンといったお兄さんたちには軽く2勝したものの、満を持して登場したSクンの父親に挑んだガチンコ勝負の結果は、かなり長考で食い下がったものの無念の敗退。
本人は悔しそうだったけど、「大したもんだ。小学生でこれぐらい指せれば、将来が楽しみだ」とお褒めの言葉を賜り、真剣な息子の表情を目の当たりに出来て、親としてはなかなか趣深いものがあった。
(息子が投了した棋譜。画面下が息子の位置だけど、どんな感じなのか親はサッパリw)
大量の料理を作ってもてなしてくれた従姉妹との会話の中で、やはり3.11以降の農作物の放射能汚染の話題になる。
いつも保育園でママさんたちと話している会話の内容を伝えると、それまで温厚だった彼女が一瞬気色ばんで言った。
「そンたに東北(とうほグ)の野菜サ心配なら、食わなぐでえンだ。都会の人も、自分で野菜サ作って食べてみろってンだ・・・!」
彼女のつぶやきで、自分はやはり震災の外側にいる人間なんだ。そう思い知らされた。
理性的なものじゃなくて、「同じ苦しみを分かち合うつもりもないのに、これまでと同じように東北を搾取するのは許さない」。そんな強い感情をぶつけられて、うまく次の言葉が出てこなかった。
夜半、豪雨。まるで川の隣で寝ているかのよう。
寝室のすぐ裏手には、伯母夫婦が二人で一から開墾したブドウ畑が広がる。
青森でのんびり温泉に浸かっていた昨日が、なんだかもう遠いことのようだ。
明け方5時前。外を眺めていると、洗面所の方からはもう洗濯機の回る音が低く響いていた。
帰りの新幹線。車窓を過ぎ去るのは緑豊かな東北の風景。
二泊三日の短い旅は、こうして終わったのでした。