THEATRE MOMENTS Vol.15「人形の家−キレイなヒミツのカクシカタ−」


そういえば舞台観たときの感想って、カテゴリーなかったな・・・でも新設するほど数観るかな?と思いつつ。


初めての劇団、初めてのスタジオ。しかも冷たい雨。
普通だったら足が向かないところなんだけど。

昨日「一枚のハガキ」で思わせぶりに「贔屓の役者さん」と書いたその人が出演するとあっては、何があっても駆けつけちゃうわけです♪


雨の中、初めての駅・椎名町。地図は読めるけど、平気で90度とか180度間違えてしまうこともあるので、無事に着くか不安になりつつ駅からの道を急ぐ。
劇団スタッフの方はものすごーく親切&フレンドリー。入口で演出の方がキャンディ配ってくれたりw そうだそうだ、小劇団ってこんな雰囲気だったっけ、と思い出す。*1


小さいハコなので、舞台装置らしきものはない。壁に切り絵みたいなものが貼られ、小道具は紙袋とトランクケースだけ。シンプル。
トランクケースの移動で部屋が転換したり、紙袋がクリスマスプレゼントや愛する子どもたちになり、クライマックスでは主人公ノラの抱える秘密を暴露する証拠の手紙になったりする。ニクイ演出。


演目はイプセンの「人形の家」。昔、ちょっと読んだような気がするけど、子どもだったのでよくわからなかった。今の自分が読んだらきっといろいろ思うところがありそうな話だ。
女性の自立を謳った物語、というのが定説なんだろうけど、後半存在感を増すクログスタとリンデのカップルに象徴される「人生はやり直しがきくもの」という部分の方が、むしろ観ている側の心に響くような気がした。


役者さんたちの動きが、モダンダンスみたいで素敵。ここに客演の人との差「踊れる人」の技量がはっきり出ている気がした。演劇とは身体表現なのだなあと今さらのように思う。なめらかに動く人間の身体は、セリフがなくてもつい見入ってしまう。

途中、セリフでのやりとりが長くてちょっと緩慢になるところがあったけど、ノラの秘密が露見し、最愛の人だったはずの夫・トルヴァルから罵倒され、自分たちの生活が見せかけのものだったと気づく場面の盛り上がりはよかった。観ていてドキドキ。ああいう表現方法は、映画でもドラマでも出来ない。


ご贔屓の彼は、トルヴァルがメイン。*2妻を猫かわいがりする夫、という雰囲気にはちょっと若いかな?と思ったけど、ノラを罵倒する場面はやっぱりよかった。激高するときの声がじつに、じつによいのだ。

彼の演技は、それこそ子役時代からずっと見てきている。淡々と生きてきた人間が、あるきっかけで感情を爆発させる瞬間。それを演じるときの彼が好きだ。素の笑顔もとても素敵な人なんだけど、出演作ではあまりそういう印象、ないのよね・・・


公演終了後、少しだけ話ができた。以前何度かファンレターを出したことがあったのだけど、驚いたことに彼は私のことを憶えていてくれた。感動。もう10年も前のことなのに。

握手に応じてくれたけど、そのあたたかさに自分の手の冷たさをより感じて、ものすごく後悔。急いで飛んでったから、お手入れも満足に出来てない手で。服装も、モロ普段着だったし。うえーん。*3


でも、会えて嬉しかったなあ。
彼が以前の事務所を離れた時期と、自分に子どもが出来て自由に映画や舞台を観る余裕がなくなった時期が重なっていて。ネットで調べてはいたけど、公演情報等を知るのが後手後手に回り知った時にはすでに公演終了、みたいなことが長いこと続いていた。

今回ようやくタイミングが合ってこうしてまた舞台で演技する彼の「いま」に触れることが出来て、本当によかった。
シアターモーメンツという劇団や、客演していた他の役者さんの中にも興味を引かれる人がいたり、なかなか自分にとって収穫の多い体験だった。


次回公演、どんな演目になるのかな。楽しみです。

*1:独身の頃は結構行ったのよねー>小劇団 熱心な小劇団ファンの知人がよく誘ってくれたんだったっけ。彼、元気かなあ・・・

*2:ノラとトルヴァルは複数の俳優たちで演じる形を取っていた。この劇団がいつもそういう編成でやっているのかは知らない。

*3:まさか直接話せるとは思っていなかったので油断しまくりだった・・・ふ、不覚っ・・・!