Night Birds
もう一生聴けないかも、と諦めてた曲というのがあって。
高校生くらいのときにラジオで聴いたその曲は、当時地方の高校生がどんなに探してもどこにもなくて。それがいまや、iTunesで150円で買えちゃうわけです。ビバ・インターネッツw
だがしかし。インターネッツにも落とし穴はあった。そう、iTunesで売ってなくて、廃盤になってしまってて、こちらの足元を見るかのように中古市場であり得ない高値で売られている曲は、やっぱり聴くことは叶わない・・・そう、はっきり言おう。池田さんの曲には「ああ、もうこの値段じゃ手に入りそうにないや。きっと一生聴くこともなかろう。ま、運がよければいつかライヴで聴けるかもね」、な曲がひっじょーに多いのですよ!
特に、手に入れたくても手に入れられないのが、アルバム「Hello」とシングル「君の空になりたかった」。*1「Hello」はレビューサイトで「歌詞が暗い」と評されていて、どんだけ元気がないのかぜひ聴きたい!と思ってたもの。
ただ、ちょっと暇な方はググればおわかりのように、市場にないか、あってもやたら高い。「あれくらいだったら買いなさいよ!」な方には申し訳ないけど、私のような薄いファンには、正直いってちょっとなあ〜という価格帯だ。もし頑張って買ったとしても、池田さんには一円も入らないしねー。
前置きが非常に長い。失礼。
しかしそんな状況が、神の降臨により一転したのであります!
ということで無事聴けたのが、アルバム「Hello」の中の一曲「Night Birds」。
「遠い国へ行きたい」 君がそうつぶやく
三日月は東へ どこの国へ行くのか
終わりにするたび 強くなる君を
どんな顔をして 見つめればいいの
愛しか決められない 僕らはどうなるのか
どうしてこんな風に 二人は出会ったのか
夜しか何も見えない 孤独な鳥のようさ
どうしてこんな風に 二人は出会ったのか
(「Night Birds」 作詞/有賀啓雄 )
多分、池田さんの作詞なんだと思う。*2アルバム「Living Music」の「流星」と近い世界観。
で、曲自体は似てないけど、なんとなくドナルド・フェイゲンの「The Nightfly」が思い浮かんだ。「Nightfly」の意味はよくわかんないけどw。*3
自分たちの姿を闇が隠してくれる、夜にしか翼を広げられない淋しい鳥たちの不自由な愛。モロ不倫ソング。イイなあ。
「モノクローム・ヴィーナス」からしばらくのパターンは、年上の女性の愛に翻弄される池田青年って感じで、不倫ですらないつまみぐいかもしれずw が、「流星」やこの「Night Birds」は、明らかにダブル不倫。間違いない(キリッ)。
街を歩いても 手をつなぐときも
いつも振り返る 僕らが悲しい
(「Night Birds」 作詞/有賀啓雄 )
都会のビルの森 彷徨う僕たち
二人の恋もまた 似たようなもの
(「流星」 作詞/池田聡)
誰かに見つかってしまうかもしれないから、いつも外を歩くとき、あたりを伺ってしまう。そんな二人の道行きがどちらの曲にも描かれている。
片方が弄ばれてる遊びの恋などではなく、明らかに二人は共犯者。抜け出そうとしながらも、それでも「二人」でいることを選んでしまう。そんな二人の翼は闇のように暗く、夜露に重い。
「流星」に比べて「Night Birds」の方が、ギターの弦の響きの切なさが生きるアレンジと、直裁な思いが歌詞になっている(どうしてこんな風に/二人は出会ったのか)せいで、綱渡りのような愛の不安さが増しているように思う。
多用されているファルセットがちょっと苦しげで、歌詞の内容に似合ってるとこもいい。
そしてスキャットの部分でのベースラインの渋さ。いかにも夜!って感じの曲だ。う〜ん、タマラン♪ あ、そうか。夜=ドナルド・フェイゲン、のイメージなのかも(←音楽的にはまったくわかってない発言)。
最近は不倫ソングもあまり流行らないけど、一ジャンルとして今後も廃れないでほしい、とこの曲を聴くと強く思う。
実際やれば修羅場だろうけど、堕ちてみないと味わえない痛みもまた、オトナの勲章。そういう年齢層の人にアピールする歌だもん、絶対w
池田さん自身、前のサイトでは「不倫はダメ」ってきっぱり言ってたけど、長岡ぶらりツアーでは確かに「皆さんだってイケナイ恋に溺れたこと、一度や二度や三度くらい、あるでしょおおおおお〜〜〜!」って会場に振って、微妙な空気をかもし出していたのを私は忘れてはいないゾw
ぶっちゃけ、池田さんがどういう恋愛しようが生真面目だろうが破綻者だろうが(さすがにそれはないかw)、それは何でもいい。
とにかく、このテの曲をまだ歌っててほしい。
枯れてほしくないッスよ、はっきり言ってw
ツイッターで日常らしきものを垣間見せつつも、偶像的な部分も同時に味わえる。ファンにとっては、それがオイシイとこなのであります♪