幸福(From「Saturday,11:30 a.m.」)

最初は「濡れた髪のLonely」から入ったんだけど。最近で一番お気に入りは、アルバム「Saturday,11:30 a.m.」に入っている「幸福」だったりする。
発売当時ドラマの主題歌だったみたいだけど、記憶になかったなあ。


サイモン&ガーファンクルの「ミセス・ロビンソン」みたいな前奏から入るとこで*1、もう「ああっ、この曲きっと好きだ!」と思ってしまった。残念ながらYouTubeには池田氏の「幸福」はないので*2、前奏の雰囲気だけご本家から。
(どちらも埋め込み禁止だったので、お手数ですがYouTubeまで飛んでおくんなまし)



でも全体的な曲の雰囲気は「冬の散歩道」の方が似てるかなあ。テンポがよくて、曲調がちょっとマイナー気味。


※ここで本当の「幸福」貼ると、「パクリじゃん!」とか言われかねないかもだけど、違うんだよ。これ絶対狙ってるんだと思うんだ。アルバムタイトルからして「Wednesday morning,3:00a.m.」のまんまだし。ネット界隈ではよくパクリ疑惑とかいうけどさ、普通に音楽性の高いそれなりのアーティストの場合、知らん顔してパクるというんじゃなくて敢えてやってる人の方が多いはずで、それは全然悪いことじゃないと思う。自分のフィルターでその作品を覗いたらこうなりました、っていうことだから。いわゆるインスパイア?*3


この曲の、音的なこと以外では歌詞が、とにかく歌詞が好きだ。

  幸福は 結末よりも
  途中の景色がすてきだと
  いつかきっと 思える日が
  来ると信じてる

             「幸福」 (作詞:川村真澄

全部の歌詞は引用しないけど、どうやら恋人同士ちょい手前みたいな状態の「君」と「僕」がいて、彼はどうも二人の関係を進めることを躊躇してるもよう。「泣かない夜が来たらもう 恋は終ってしまいそうで」なんて歌詞もあったりするし。なんだかおにゃのこみたい・・・萌えるw

で、覚悟がない自分を「結末よりも 途中の景色がすてきだ」という言葉で、誤魔化すわけです。いいね〜、こういう女々しい男を歌う池田聡。じつにハマル。好きだー!


この二人の関係は、いずれ行き着くべきところに辿りつくしかない。それが「幸福な結末」なのかそれとも「悲しい別れ」なのかはわからないけど、「恋は終って」しまうのは確かだ。幸せな結婚をしてそれがベストな結末かというと、そういうもんでもなく。「恋」は死ぬ。というか、違う姿に変わってしまう。確実に。
初期の恋愛衝動が愛情、愛着に変わることもまた素敵なことだ。凡人だから、破滅的な恋愛なんて御免被りたいし。でも何かが変わっちゃったなあ、と寂しくなる気持ちもあるんだよね。その感情はある程度の年齢、経験を重ねた人だったらきっと、わかってもらえると思うのだけど。


まだ完璧な形じゃないから、二人の関係の不安定な部分にどうしても目がいく。笑顔でいてほしいと思いながら、哀しい目をさせる自分にちょっと酔ってしまう。そんな自分勝手な愛し方をしてることに気づいていながら「上手に愛せない僕を ゆるしてほしい」とヌケヌケと言ってしまう ― 現実にいたら、絶対ヤなヤツだ。でも、歌の世界の中ではとても魅力的なキャラクターになってて、そこらへんをこの歌詞はとてもうまく描いていると思う。何より「そういう男」像池田氏の声がじつに合う!
軽快なリズムも心地よくて、気付けば何回もリピートして聴いている。そんな感じの曲だ。


彼のアルバムを聴いていると、正直いって「ちょっとアレンジが古いかなー」という感じの曲もいくつかある。でもこの曲は、いまこのまま流れてても大丈夫なんじゃないかな?サイモン&ガーファンクルが流れているのを聴いて、「ああ懐メロね」って思わないのと同じように。


そういえば日吉NAPに行ったとき、客入れの音楽がサイモン&ガーファンクルだったっけ。あれはお店の趣味なのか、池田氏の意向なのか・・・どっちでしょ?
池田氏の歌詞って、ちょっとポール・サイモンぽくて好きだなあ。あまり突飛な言葉を使わないから、さらっと流れてしまうけど。その件についても、いつか書いてみたいです。

*1:アルバムのは「11:30 a.m.mix」になってるので、通常のシングル仕様が同じアレンジなのかは知らない。

*2:てゆーか、本当はなんでもかんでもある方が問題なのかもね・・・

*3:偉そうに書いてて、全然違ってたりしてw