見たもの・読んだもの
心の中が慌ただしく落ち着かないときほど、本を読んだり何か手に取りたくなるタイプなので。
■読んだ本
- 作者: 市橋達也
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: 単行本
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そういえばひと頃、やたら話題になったけど。実刑が下って(だよね?)すっかり話題もなく。
――しかし、読んでなんかモヤモヤする本だったなー。
とにかく捕まることが怖くて逃げ回り、逃げ果せるためなら鼻を自己流で縫っちゃおうが唇をハサミで切り落とそうがもう、「なんでっ!?」っていうことまでできるくせに。
彼がどういう風に育ち、どこでこんな風に道を踏み外したのか、自己分析らしき記述がまったくない。
この本でないところでやってるならいいんだけど、もしこんな小学生の作文(文章がヘタというわけではない。年齢の割に、文章を書くという行為の中で思考を深めるプロセスが見当たらない、という感じ)みたいなことしか本気で出来てないようだと、いずれ出所した暁にはどうなっちゃうんでしょうかね、この人?
震災から語る――別冊思想地図β ニコ生対談本シリーズ1 (別冊思想地図β ニコ生対談本シリーズ # 1)
- 作者: 和合亮一,津田大介,竹熊健太郎,東浩紀
- 出版社/メーカー: コンテクチュアズ
- 発売日: 2012/01/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ちょっと読む時期が遅かったかも。
Twitter絡みで話題になるものはなんでも、タイムリー性がないとダメっぽい=自分にはうまく消化しきれないことが多い。
- 作者: 橘かがり
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2011/03/11
- メディア: 文庫
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NHKでやってた「負けて、勝つ」の中で、GHQ高官であるケーディスの不倫相手としてチラッとだけ出てきた女性・鳥尾鶴代。
ググってみたらドラマのキャラクターのようにバカっぽい感じではなく、ポートレートもとても美しい人だったので興味を持って読んでみた。
本自体は恋愛小説としても歴史小説としても中途半端な感じだけど、彼女のイメージだけはなんとなくわかった。
戦後の混乱期にはこんな風に、時代に翻弄され、平凡な幸せとは縁遠い人生を送りながら、表舞台に強く自分を訴え出ることもなくひっそりと人生の幕を下ろした人々がたくさんいたんだろうな。
※「負けて、勝つ」関連ではこのあと、吉田茂の娘である麻生和子さんの本「父吉田茂」も面白そう(待機中)。
- 作者: 麻生和子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/08/27
- メディア: 文庫
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■見た映画
DVDですけどね。
夜叉(1985年)
・・・個人的にいま、「高倉健祭り」真っ最中(^^♪
公開当時に見たのだろうか?一度見た記憶があって、ほぼその印象は間違ってなかった。
あどけなく、妖艶。性根の座った強さと同時に(昭和の男なら手を差し伸べずにはおれないであろう)、脆さを持った女・田中裕子の魅力を再確認。彼女を印象づける様々な「赤」*1がじつに美しい。
さりながら。やはり、カッコイイ健さん・・・!
撮影当時50歳とはとても思えない、鍛え抜かれた上半身にまとわれた夜叉の刺青。
田中裕子とはキスシーンすらないけど、健さんの背中でうねる夜叉と、情事のあと彼女の耳を噛むシーンがむちゃくちゃセクシーであります。
冷静に考えるとツッコミどころは多々あるけれど、そういうのを平気でほったらかしにできるほど役者の魅力に溢れた映画。
日本海側の漁師町の雰囲気と、映画全体のトーンがマッチしてるところも素敵。
八甲田山(1977年)
日露戦争前に、ロシアの厳冬下での戦闘に備えて青森県・八甲田山にて行われた雪中行軍で起こった、210名の中隊がほぼ全滅(199名遭難死)するという悲劇の映画化作品。
原作は新田次郎で、これもまた非常に面白かった。
- 作者: 新田次郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1978/02/01
- メディア: 文庫
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健さんは、無事生還する弘前第31連隊隊長・徳島大尉役。
残念ながら悲劇の将となる青森第5連隊隊長・神田大尉役は、某CMで犬のお父さん役でお馴染みになってしまった(?)北大路欣也。
史実とも原作とも変わっていて、行軍前に「雪の八甲田で会おう」と交わした約束を果たそうとうとする、男たちの物語になっているところがもう泣ける。
「雨月物語」のなかの「菊花の約」まんまというか、ありえないオカルト設定で神田隊遭難の場所に行き合う徳島大尉。
雪の中、徳島大尉を待っていたかのような青白い顔で横たわる神田大尉がもう、凛々しいというか切ないまでに美しい。
そして、柩に横たわる神田大尉の姿に、思わず落涙してしまう健さん。
それまで抑えに抑えた演技なだけに、「自分は確かに、雪の八甲田で神田大尉に会った」とだけつぶやき、あとは涙を堪えようとする姿がじつに、じつにグッとくるのであります。
一緒に見ていた夫は、私ほど面白く感じてなかったみたいなので(どちらかというと「坂の上の雲」絡みなので見た、という程度)、この時代の邦画の映像や、音楽にまで思い入れて見てるのはやはり「昭和」な自分だけだったもようです・・・